前編:哀しみの童女レン

鬼が出ると噂されている羅城門での生活。初めのうちは私、お邑一人で、いつ終わるとも知れない儚い命とともに、孤独の中を過ごしていました。雨の日も風の日も雪の日も、永遠と思える永さの中で、暗闇の中に身を沈め、儚い夢を夜空の星に託しながら、私は最期のその時を待っていたのです。

夜空にきらめく星々

そんなある日のことでした。彷徨うように一人の童女が羅城門へとやってきたのは。

それがレンとの出会いだった。

話を聞いてみますと、どうやらレンの母はもともと宮仕えをしていた「下女」であったらしいのですが、病にかかったことで〈死の穢れ〉を恐れられ、母子ともに宮中を追い出されて路上に投げ出されてしまったらしいのです。病弱だった母親はほどなくしてそのまま路上で亡くなってしまい、幼いレンだけが一人とり残されてしまった。彼女には他に頼りにできる人は誰もいませんでした。だから彼女もまた、一人孤独に都を一人あてもなく彷徨うしかなかったのです。そう、この私と同じように。そしてあてのない放浪の末に、運よく辿り着いたのが羅城門だったのです。

忘れもしません。その日はどしゃぶりの雨でした。

暗闇の中の土砂降りの雨

激しく降り続ける雨の中、その子は門にやってきた。冷たい雨に身体を濡らし、心をえぐられ容赦なく痛めつけられて、暗闇の中うずくまり、独り震えて泣いている。ボロボロになった身体を抱え、悲しみの中で痛い、痛いと叫んでいる。

この子は・・・・・・・この子は私だ。

身も心もボロボロとなり、小さな身体を震わせて泣いているレンを見て、私はそう思わずにいられなかった。胸の傷が、私自身の抱えている痛みが、そのすべてが童女、レンの心と共鳴していたのですから。

だからこそ、放っておけなかった。この子を守ってあげたかった。

「後編:悲しみを包む子守唄」へとつづく。

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