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だから俺は、その世界の仕組みの外側に出た。資本と自由意思が世界の在り方を決定するその世界の外側に。そして今、俺はその世界の外側で、新しい世界を築こうとしているのかもしれない。かつてある人物が構想し、そして果たし得なかった世界。目に見えぬ束縛の世界から解き放たれ、再びその世界を実現する日がやってきても、未だ果たされぬその世界。近代以来、人間が人工的に作りあげた天国。その遥か外側の世界。俺はそこで、どんな世界を観ることができるのだろうか。

夕焼けとカモメのイラスト

かつては俺も、既存の世界の仕組みの中で動く人間だった。その仕組みの一部だった。だが、その世界に巣食う闇に目を向けた時、俺はその世界を激しく嫌悪するようになった。だからなのか。だからこんなにも毎日がすり減っているのか。だから生きても働いても毎日が灰色に見えるのか。それが分かった気がしたからだ。

俺が観た世界の闇。その世界の仕組みは、こうなっていた。

① 労働観
労働とは、自己の利益を追求して富を蓄積し、幸福を実現させるための手段である。物質的量的に豊かになれば、人間は幸福になる。だから働くのだ。
② 成長主義
生産力が向上し、経済的に豊かになれば、より多くの幸福が実現する。だからこそ成長し続けなければならない。経済成長こそ幸福である。
③ 平等主義
(唯一絶対の神の下では)どんな人間も平等にとるに足らない存在である。
④ 学歴主義
学歴に重きを置く。よって学歴が高い者こそが一番ということになる。高学歴の者は意識が高く生産力があり、そうでない者はそれがない。だからこそ生産者にとって高学歴の者がメリットがあるのだ。
⑤ 実力主義
実力重視の考え。よって実力があれば誰でも立身出世できるが、実力のない者は消えていくという矛盾がある。実力があればより多くの利益を生み出すことができる。
だから実力のない者はダメなんだ。
⑥ 競争原理
他者と競合することで力を高め合い、生産の原動力とするという原理。しかしその際、力のない者は力のある者に負けていく。
⑦ 自由主義
個人個人が自由に生産・競争することができる。
⑧ 人権思想
神によって与えられた人間の権利(欲望)の追求(要求)を一番に重視する。
ただし、要求するだけではなく自らも義務を果たさなければならない。
⑨ 個人主義
個人の意志、個人の要求、個人の利(=欲望)が重視される。

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「この世界の根底には、人間の欲望が渦巻いている。それこそが闇だ」。ボス、あんたはかつてそう言って、世界の仕組みを俺に教えてくれた。

ボスのイメージ図

この教えは今でも俺の中で生きている。人工的に作られたこの世界の仕組み。それは今も世界を覆っている。確かにこの仕組みでも世界は回っていくだろう。しかしそこには、機械のような冷たさはあっても、温かみに欠ける世界なのではないかと、俺は感じてしまった。だからだろうか、そんな世界に身を置きたくはない、と思ってしまったのは。だからだろうか、その世界の外側に出てしまったのは。

その世界の仕組みの外側に出た俺は、長い長い旅に出た。孤独を友として、独立独歩、様々な過去と現在の世界を旅して、様々な未来を想った。そして俺はその旅の中で、今はほとんど消滅した教え(仏教というものらしい)を持つ人々に出遇い、師事し、修行を積み、そして今、1つの答えを見出してこの今を生きている。俺は何のために生きるのか、何のために働くのか、その答えを糧に、今を生きている。

ボス、かつてあんたが思い描いた世界を、俺はここに描き出そう。天国に見放されたその世界を。それゆえに、囚われのない本当の自由を得て生きることができる世界を。ここに描き出そう。仏陀の教えを支えにして生きていた賢人に仕え、その先に見た真理を。

① 差別即平等の道
私たち1人1人は異なった存在であるが、皆平等に仏法という救いの教えに包まれてこの世界に生きている。救いの教えはあらゆるところに存在しているのである。
② 平等救済の道
だからこそ、それぞれの能力、立場、財力に応じて善い行いを積み重ねてゆけば、誰にでも救いの道はいつか必ず開かれる。
③ 教導修行の道
まず己の自身の救いの道を開くために、常差別常平等の世界の中で、あらゆるものたちから教え(仏法)を学び、それを受け入れて実践し、実践的な智慧を身に付けてゆけ。
④ 自利利他修行の道
そして智慧の力を用いて、自らを救済しさらに他者をも救済していくのだ。自分の持ち場で誰かのために、自分のできることをしていくのである。「誰かのために」という思い、それこそが仕事の原動力となる。
⑤ 寂滅徹底修行の道
修行を通じて人やモノ、特定の考えや自分に対する執着心を捨てよ。
そして自利利他修行を徹底的に実践し、自らを磨き続け、他者を支え続けよ。
⑥ 物心一如の道
生産者は、常に「誰かのために」という真心を持ってモノを生産し、それを享受する者は、自分たちの生活といのちを支えてもらっている生産者に心から感謝して、大切にモノを享受してゆくことが大切である。
⑦ 慈悲和合の道
そこから智慧と慈悲に基づいた和の世界が創造されていく。あらゆるものたちのいのちを尊重して共に生きていく道が開かれる。
⑧ 大乗菩薩の道
このようにして一人一人が大乗菩薩(苦しみ生きるものたちのために現実世界で救済行為に励む者)と自覚して責任を持ち、世界を支えていくのである。

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「世間生活の八道」。俺はこの真理をそう呼んでいる。俺はこの真理を胸に抱き、この世界を生きてゆく。この真理を胸に、他者の意思を尊重し、自らの意思を信じて生きる。世界を変えることではなく、ありのままの世界を残すために、最善を尽くしてゆく。そうやって永遠の時を刻んでゆくのだ。天国の外側に生きる、世界を捨てた男として。

俺はどこまでも行くだろう。たとえそこが、埋まらない空白であるとしても。

「Garbage – Not Your Kind of People 和訳」

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