ああ、夢が叶ったぜ、マジ最っ高だったぜ、VRデート。バーチャル・リアリティーカノジョとクリスマスデートという、夢の仮想空間。彼女いない歴=年齢の俺には、この手に限る。なに?少しは彼女をつくるために努力しろ?うるさい!!俺は三次元より二次元だ!リアルな女の人はめんどくさい!それに、いざ目の前にいた時に、何をどう話していいのかも分からん!しかしだな、バーチャル・カノジョは俺の望みを叶えてくれる、夢のような存在なんだ!!なに?お前はもう終わっている?ほっとけ!!個人の自由だろう!!

よーし、気力も得たことだし、そろそろ行くか。この俺の力で今宵もぶっ飛ばしてやるぜ。人間の平和を乱す御乱心した悪魔どもを、一匹残らず死刑に処す!

サンタクロース

俺はサンタクロース。サンタはサンタでも子供たちにプレゼントをあげるサンタじゃない。それはプレゼント部門で働くサンタの仕事だ。俺が所属するのは、1年に1度、12月24日の聖なる夜に、地の底から蘇る夜悪魔どもを処刑する、戦闘に特化した特殊部隊のバトルサンタ軍団、Xデーサンター・シールズ。俺たちの使命は戦闘サンタとして悪魔どもをぶち殺すこと。奴らにとっておきのプレゼントをくれてやることだ。抹殺というプレゼントをな。12月24日、この日は神が悪魔を地の底に封印した術の効果が解ける日なのだ。だから悪魔はこの日に蘇り、人々に災いをもたらそうとする。それを阻止するのが俺たち特殊部隊サンタ―・シールズってわけさ。

悪魔

あ、ちなみに以前神の封印術の効果は1年しかもたないといったが、あれは古い学説だった。近年、クリスマス大学教授、プロフェッサー・カーネル・サンタースの研究報告によれば、12月24日は神が封印術、魔封破で力を使い果たしたため、1年に1度力が弱る日だということが明らかとなった。だから術がとけるらしい。

ま、そういうわけで、今年のクリスマスも俺たちサンタ―・シールズの出番ってわけさ。

さあ、覚悟しろ!人に仇なす悪魔ども。一匹残らずぶちのめす!お前らに今日を生きる資格はない!

さあて、そろそろ行くか!トナカ~~~~~イ。

俺が夜空に向かって叫ぶと、空を猛スピードで駆けてくる、ソリを引いたトナカイの姿が見えた。あまりに超高速で駆けてくるので、大地に着地した瞬間、物凄い突風が辺りに吹き荒れた。

どわああああぁ~~~~~!!

勢いよく吹っ飛ばされた俺は、すんでのところで近くにあった岩石に激突しそうになったが、ギリギリのところで踏ん張って助かった。そしてトナカイの方へ駆け寄っていく。

「お前何考えてんだよ!気をつけろって何度も言ったろうが」

「すまねえなギャーノルド・スターマン、ついいつもの癖で。興奮しちまってよ」

ちなみに、このトナカイは人語を理解する天才的なトナカイだ。俺の相棒でもある。

「その名前で呼ぶな、俺はサンタだと言ってるだろう」

「ああそうだったな、じゃ行こうぜ。処刑クリスマス♪」

「処刑クリスマス♪OK!」

「処刑クリスマス」これは俺たちの合言葉だ。聖夜の夜を汚す悪魔どもに、メリークリスマスなどあるものか。悪魔どもにあるのは処刑のみだ!!刑に処されて初めて、奴らは目覚めることができるんだからな。

俺はソリに積んであったサンタのコスチューム、赤いセーターとズボン、そして帽子をかぶり、お馴染みの姿で戦闘態勢を整える。ちなみに長靴は履かない。戦うには効率が悪すぎるからな。そのかわりに履くのが、オートマチック機能付きの強化型スーパーブーツさ。フットワークが軽いだけじゃない。キックをかませばそのたびに、マッハ級のスピードで走る列車と激突キッスしたような気分が味わえるぜ。まさに一撃必殺!相手は一瞬でお陀仏さ。さらにだな、ブースト機能で空だって飛べる優れものだ。戦いにはもってこいだろ。

白い巨大袋が積まれたソリに乗り込んだ俺は、その内部に設置されている操縦桿を握りしめる。久しぶりだ、この感覚、た~まらん!!

「準備はいいか、いくぜーーーーー!!」トナカイが咆哮する。それは大地を揺るがし、あたりに大反響していった。

「よし、行くぞーーーーーー!」テンションマックスで俺はソリのエンジンをかけた。

ぎゃぎゃぎゃぎゃ!!ブオオオオオオン!!!

強烈な唸りをあげるソリのアクセルを踏み込み、俺は操縦桿のスイッチを押したのである。

ビッグ・ミステイク!!

そう叫んだ瞬間、ソリは後ろの噴射口から物凄い勢いで火を噴き、爆音あげて夜空へと爆進をはじめた。マッハ級の速度は出ている。神がかり的なスピードだ。普通の人間なら瞬時に燃え尽きるだろう。しかし俺は笑っていた。高笑いが止まらなかった。このスピード、この疾走感、たまらん、た~~~~まらん!!興奮度マックスのニトログリセリン配合の特殊ソリ、最高だ~~~~~!

ギュアアアアア~~~~~~ォン!!

そうこうしているうちに、ある都市に行き着いた。あっという間だ。さすがだが、ちょっとスリルが物足りなかったが、まあそんなことはどうでもいい。さてと、悪魔はどこだ~。

その時、俺の中の眠っていた闘志が目覚めていた。さあ、パーティータ~~イム♪♪今宵も世界の平和のため、平和な聖なる夜のため、俺は闘う、闘い続ける!俺がやらなきゃ誰がやる!!

すると、都市で暴れまくっている悪魔どもが目に入ってきた。
「あそこだ!いくぞトナカイ!トニートニー・パッチョー!」
トニートニー・パッチョーとは、このトナカイの名前だ。

爆音あげて垂直に急降下するソリ。俺は都市に群がる悪魔どもの中に、死を恐れず突っ込んでいった。

悪魔どもよ、覚悟を決めろ、今からお前らを抹殺する!!

ギュアアアアア~~~~~~ン!!

よっしゃ~~~!いくぞ~~~~!

俺は悪魔の群れめがけて必殺ダイブをかまそうとした。その時である!

ボッ!!!

突如、ソリの後ろの噴射口から火の手があがった。それは瞬時に激しい炎となってまたたく間にソリ全体に広がっていたのである!あまりにスピードを出しすぎたため、エンジンが負荷に耐え切れず焼きついたのだ。

ボ~~~ウ!ボ~~~ウゥ!!

「あっちあち!!あっち~~~~~~!!」
俺は爆走するソリの中で炎に包まれ、バーベキューにされて瀕死の重傷を負っていた。しかもさらに悪いことに・・・・。

爆発

バーーーーーーーーン!!

ドゥカーーーーーーーン!!

その炎がソリの後ろに積んでいた白い巨大袋に引火して、大爆発を引き起こした。袋の中には悪魔をぶち殺すためのプレゼント、武器や爆薬が山のように詰め込まれているのだ。それに炎が次々と引火したものだから、たまらない。さらに大爆発したソリは、もはやソリの原型をとどめていない。地獄の底へ垂直に落下していく、地獄行きの火車と化していた。

「消火、消火しないと、消火!!」

もはやすべてが手遅れだが、そうと分かっていても何かせずにはいられない。それが人間というものだ。俺は消火のためのボダンを押したが、何度押しても機能しない。まったく機能しない。

「くそ~~、動け!動けってんだよこのポンコツ!」

ガン!と力任せに拳でボタンを殴りつける。するとその衝撃でボタンが完全にぶっ壊れた。

「ああ、ああ!ああ~~~~~~~~!!!」

ダ~メだ~~~~~~~~~!!!

ドーーーーーーーーン!!

勢いよく垂直降下したソリは、炎を吹き上げながら爆音あげて悪魔の軍勢に激突!!そして次の瞬間、あたりに大爆発をもたらしたのである。

・・・・・・俺はこの1件で全治100年の大けがを負い、サンタをクビになった。そして100年後、罰として地獄のプレゼンター、デーモン・サンタに処刑されたのである。

お前もディナーにしてやろうかぁ!

サンタ裏奥義 処刑クリスマス!!

ビシ!あんぎあああぁ~~~~~~~!!

(終わり)

コメント(1)

コメント一覧

  • K・スィーガー より:

    読むだけで脳細胞が死滅していく、恐るべき小説。それは、浸食というべきか。テクストの快楽(バルト)とはこういうことなのでしょうか。

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