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酷暑な夏が続きますが、みなさんいかがお過ごしですか。夏の暑さに加え、夏風邪やコロナも見えないところで暗躍していそうな今日この頃。暑い上にウイルス、まさにサマーグロッキー。そんな気分なので、今日はなんとなく風邪にやさしそうな仏教のお話をしたい気分なのであります。
それが、空也上人と皇服茶(おうぶくちゃ)のお話です。
空也上人は平安時代中期に活躍した僧侶で、平安京の人々に阿弥陀念仏を広めた人物として知られていますが、その空也上人は京中で疫病に苦しむ人々のために命を賭して救済活動を展開したことがありました。
それは今から約1000年くらい前の天暦5年(951)のこと。京畿に悪疫が流行し、鴨の河原も都大路も打ち捨てられた死屍あふれるという惨状を呈したことがありました。この悲惨な有様を目にした空也上人は、悪疫退散を祈願して身の丈1丈(3.03m)の金色に輝く観音菩薩像を造り、それを車に乗せて洛中洛外をめぐったのです。
そればかりか、青竹を八葉の薄片に割って点てた茶に、梅干と茗荷を加えて、天皇をはじめ疫病に慄く人々にふるまったといいます。
これはいわゆる六波羅蜜寺で正月三が日の参詣者に授与される皇服茶(おうぶくちゃ)の始まりであり、これによって、さすがの悪疫も終息したと伝えられています(六波羅蜜寺では、村上天皇が服したことから「皇服茶」と書かれ、元旦に汲んだ若水で茶を点てて、厄難除けのお札と一緒に授与されます)。
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「これを非科学的な伝説としてしまうわけにはいかない」
そう述べられたのは、作家の高城修三(たきしゅうぞう)さんです。高城さんは、「六波羅蜜寺をたずねて」(『新版 古寺巡礼 京都5 六波羅蜜寺』淡交社、2007年)の中で、こうおっしゃっていました。
茶・梅干・茗荷などの殺菌力の強い飲食物が予防医学的な効果を発揮したことは十分に考えられるのである。
だがそれも、天皇から庶民に至るまで、空也上人の菩薩行に対する深い信頼と敬慕があってのことであろう。
ちなみに観音菩薩は阿弥陀仏の脇侍(わきじ)で、阿弥陀仏による来世における救済と、現世における抜苦とを繋ぐ菩薩であるとされています。
空也上人はこのように、観音菩薩の信仰と皇服茶によって、人々を疫病から救うという活動を平安京で展開したのでした、とさ。
おしまい。
この記事を書いた人
じゅうべい(Jubei)
みなさんこんにちは。今日も元気がとまらない地球人、じゅうべいです。好きなことは遊ぶこと(漫画に映画、音楽(Jロック等)にカフェ巡り)です。
よろしくお願いします。