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前編:明日への道を照らす心

青空から照らされる陽の光

「今日もいい天気ですね」

俺、辰巳はその日、太陽の光が降り注ぐ青い空の下で、鴻臚館(こうろかん)の外に設置されている木製の長椅子に腰掛けて過ごしていた。隣には空也様が共に腰掛けており、地面では気持ちよさそうに大きい白犬の小太郎が寝ている。この犬は普通の犬よりも遥かに大きく、空也様が言うには人々を守る鬼神が犬の姿をしたものではないか、ということだった。

大きな白い犬の小太郎

普段は黒くて可愛らしい目をキラキラさせて人懐っこい犬ではあるが、危険が迫った時は豹変し、人々を守ってくれるのだという。といっても俺はまだ見たことはないが。

「青い空を見ていると、辛い気持ちも何もかも忘れてしまいそうです」
空也様はニコリとして俺の方を見ている。
「その後、気分はいかがかな?」
「ええ、おかげさまでだいぶよくなりました。ただ・・・・」
俺は左手で自分の胸を押さえた。
「この胸の傷は、まだまだですね」
昨日もまた、なかなか寝つけなかった。胸の傷が、大切な家族を喪った痛みと哀しみの傷が痛んで、なかなかおさまらなかったから。
「あせらずともよい。ゆっくり、時に足を止めながらでも、ゆっくり歩いていけばよい。そのうち必ずどうにかなる日が来る」
「来ますかね?」
「ああ、来るとも」
空也様が私の肩に手を置いた。
「必ず、必ず来る」

こんな俺でも、救われる時は来るのでしょうか。
許される時は来るのでしょうか。

俺がこのように問う時、空也様はいつもやさしく、力強くこう答えてくれる。

「大丈夫、大丈夫。必ず来る。必ず来るから大丈夫」と。

空也様は前にもここで俺の話を聞いてくれたことがあった。あの東市での念仏活動を目の当たりにしてからというもの、俺はこの人に不思議な魅力を感じ始めていたのだ。心を閉ざしていた頃は、生きていることに耐えられなくて、空也様が鴻臚館に来ても俺一人だけ寝たふりをして、一切関わらないようにしていた。誰とも、どの世界とも関わりたくなかった。


しかし、お邑が俺の傷ついた心を温かく包んでくれたおかげで、俺はもう一度人を信じてみようと思ったのだ。

こんな俺でも、助けてくれる人がいる。一緒に涙を流してくれる人がいる。
それが本当に、うれしかったから。

あれは東市での空也様の念仏活動を初めて見た、その日の夜だった。俺はその時、この場所で、空他様にお話した。何もかもお話した。

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●旱魃と洪水でふるさとの村を失って都に出てきたこと。
●都で貴族に仕えたものの、病にかかって見捨てられたこと。
●それでも生きのびるために、盗賊として活動していたこと。

●妻と子に恵まれた後も、盗賊をやめられなかったこと。
●そしてそのために大切な妻と子を殺され、永遠に喪ってしまったこと。
●自分には人から奪うことはできても、守ることはできないということ。

俺の身の上をすべて。

空也様は何も言わずただ頷いて、先を促すように相槌を打って聞いていた。俺のすべてを受け止めるように、ただひたすらに、黙って聞いてくれていた。

こんな俺でも、生きる意味や価値はあるのですか。
俺の罪は、許されるのですか。

肩を震わせ、うつむきながら、俺は尋ねていた。俺はどうしても俺自身が許せなかった。ただでさえ罪深い俺が、何の罪もない妻と子を殺してさらに深い罪を重ね、それでも今を生きている。そんな俺がどうしても許せなかった。

―なぜ俺は生きている。なぜ生きなければならない。
こんなにも多くの罪を重ねてもなお、なぜ俺は死なずに生きているのだ―

「だからではないのか?」
「え?」
「辰巳、そなたは自分自身の罪を深く、深く自覚している。そして心から懺悔している」
空也様は俺の肩に手を置いた。


「すべてはそこから始まるのだ。己の罪を自覚し、懺悔することから。そこから善の道を求める心が生まれ、その心が明日への道を照らすのだよ」

〈後編につづく〉

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