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後編:孤独な姫君

彼女はとても強く、やさしい女だった。
俺はそんな彼女が好きだった。だからこそ心から尊敬し、慕っていた。

貴族の家に盗みに入り、罠にはまった末に刀で斬られて重傷を負い、路上で力尽きてしまった俺。そんな俺を助けてくれたのが彼女だった。

摩耶。彼女はもともと、とある貴族の家の娘だった。

しかし両親はともに病で亡くなってしまい、まだ幼かった摩耶は一人とり残されてしまったのだという。夫もなく、女一人では仕事もないために、使いの者たちも次々と暇を出してしまい、といとう摩耶は家に一人取り残されてしまった。

日に日にやつれ、それなりに立派だった家もボロボロになっていく。無常の世をいたずらに過ごす日々が続き、光を見失った摩耶はついにその家を出ることにした。ほかに行く場所もなく、どこに行けばよいかわからなかったが、ボロボロの家で何もしないで時を待つよりはましだと思ったのだという。

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あてもなく都を彷徨っているうちに、気がつくと摩耶は清水に参る坂のあたりまで来ていた。そこはみな藪で人家もなく、少し高く小山のような所だった。そこに小さな柴の庵をつくって一人で住んでいた老婆がいたという。その人の名はおたねといった。おたねは貧しかったが、摩耶の身の上を知ってそれをとても憐れみ、ここに住むように言ってくれたという。それからはとても親切にしてくれたのだとか。しかしそのおたねも一年ほど前に亡くなってしまい、今はこの柴の庵で、一人で住むようになったのだ。

つながりを失い、孤独な者同士だった俺と摩耶。そんな俺たちが惹かれ合うのにそんなに時間はかからなかった。俺たちは二人寄り添うように、その柴庵に住むようになった。
手と手が触れ合うイメージ

そうすることで、孤独や痛みを少しでも分かち合えたような気がしたから。
そうすることで、少しでも明日に光が差せば、そう思ったから。

しかし今思えばそれが、間違いの始まりだったのかもしれない。そのせいで俺は、大切なものをすべて喪うことになるのだから。

摩耶は俺を心から慕ってくれた。そんな摩耶を、俺も心から慕っていた。気立てがよく、やさしく、それでいて時々厳しいことも言ってくれる。いっしょにいてとても心安らげる存在だった。

そんな二人の間にも、いつしか子どもが生まれた。
―俺はその子に沙羅と名づけた。沙羅はとても元気な女の子だった―

沙羅が生まれ、この手にあの小さな身体を抱き上げた時、俺は誓ったのだ。父親として、夫として、摩耶、そして沙羅を必ず幸せにする。どんなことがあっても、必ず二人を守ってみせると、あの日、俺はこの心に誓った。しかし、俺には二人にただ一つ隠していることがあった。そしてそれが悲劇を・・・・・あの悲劇を起こしてしまったんだ。

第1楽章(完)

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