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後編:許される道は必ずある

「すべてはそこから始まるのだ。己の罪を自覚し、懺悔することから。そこから善の道を求める心が生まれ、その心が明日への道を照らすのだよ」

空也様は、ゆっくりとやさしく、それでいて力強い言葉で俺にこう言ってくれた。

「辰巳、そなたは今までずっと一人きりだった。たった一人ですべてを背負い、すべてを解決しようとしてきた。しかし今は違う。今は私たちがそばにいる。だからこそ、そなたはやり直すことができる。生き直すことができる。生まれ変わることができる」
「空也様・・・・」


「罪を犯してきたのなら、その分、いや、それ以上に善い行いを積んでゆけばよい。すべてを捨てて、誰かのために生きよ。今を苦しむ誰かのために、そなた自身ができることをしてゆくのだ。ただひたすらに、心を込めて」

菩薩

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「俺に、できること」
「そうだ、辰巳。痛みを宿し、悲しみを背負い、悪を心から自覚している。そんなそなただからこそできることが、必ずある」
その時の空也様の眼の光には、絶対に揺らぐことのない意志が宿っていた。
「でもどうやって?俺は・・・・・奪うことしか」
「奪うことしか知らない?ならば知ればいいだけのこと。誰かを救う方法を、誰かを守る方法を」
空也様は俺の両肩をガシッと掴み、まっすぐに俺の眼を見据えていた。
「そなたの生きる意味や価値は、その先に必ず開かれている。善の道をひたすら行ったその先に、許される道も必ずある」

だから一緒に歩いて行こう。どんな時でも私たちが一緒だ。
私は、私たちはそなたを決して見捨てない。
光が見えるその時まで、ずっとそなたに寄り添い続ける。

・・・・その時からだろうか、俺が少しずつ変わり始めたのは。今、俺は空也様やお邑やレン、そして空也様の善友である蓮性様とともに、西鴻臚館で貧者や病者たちのために、自分ができることをし始めている。いつの日か許される日が来ることを願いながら。いつの日か救われる日が来ることを願いながら。一歩ずつ、ゆっくりと前に進み始めている。

〈第1楽章 完〉

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