第1楽章 闇を照らす光のうたを
投稿日:2021年11月18日投稿者:じゅうべい(Jubei)
カテゴリー:第3遊行 空也の慈悲なる子守り唄―だからいっしょに歩いていこう― , 平安仏教聖伝―阿弥陀聖(ひじり)空也編―
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私、空也は今、暗闇の夜の中にいる。闇が私を包んでいる。見渡すかぎりそれはどこまでも広がって、果てなく世界を包んでいる。そんな世界の真ん中で、私は独りそこに坐し、耳を澄ませてその声に耳を傾ける。闇に包まれし現実の世で、痛みと哀しみを背負って、苦しみ喘ぎ憂いている、明日なき迷子たちの声を、私は今日も聞き続ける。そして私は称え続けるのだ。闇を照らす光のうたを、口に任せてただひたすらに。
「南無阿弥陀仏。阿弥陀仏。南無阿弥陀仏、阿弥陀仏」
阿弥陀念仏様、そんな私をあなたはずっと見守っている。眼を閉じた、暗闇の中にあなたはいつもいてくれる。闇に覆われた世界を照らし、すべてのわれらを光へ導く、そんなあなたがいつも今そこで輝いている。
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だから私は、今日この時もいつものように、阿弥陀念仏をここで称える。京の都の東市、雑踏の中に身を隠し、薦(こも)を廻らしそこに坐し、眼前に乞食用の破盆を設け、穏やかに食を乞いながら、阿弥陀仏様にこの身を委ねて生きてゆく。少しでもあなたに近づくために。口に任せて阿弥陀念仏を称え続ける。
「南無阿弥陀仏、阿弥陀仏。南無阿弥陀仏、阿弥陀仏」
ああ阿弥陀様、あなたを信じ、この身をすべて委ねます。どうか見ていてください。あなたがくださったすべては、かならず私が受け継ぎます。
「第2楽章 闇に囚われし愚か者たち」に続く
この記事を書いた人
じゅうべい(Jubei)
みなさんこんにちは。今日も元気がとまらない地球人、じゅうべいです。好きなことは遊ぶこと(漫画に映画、音楽(Jロック等)にカフェ巡り)です。
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