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前編:抜苦与楽の阿弥陀井戸

「南無阿弥陀仏、阿弥陀仏!南無阿弥陀仏、阿弥陀仏!」

俺、辰巳と善友たちはその日、念仏を称えながら京の都を歩き回っていた。空也様を先頭に、お邑もレンも、蓮性様も、そして巨大な白い犬の小太郎まで一緒にいる。その他、鴻臚館で共に過ごしていた多くの同胞たちも行動を共にしている。皆、病が癒え、極貧を脱し、念仏の絆を通して生きる意味や価値を再発見したものたちばかりだ。だからだろうか、みんないい顔をしている。さて、そんな俺たちがなぜ、念仏を称えながら都を歩き回っているのか。それは、京の都の東西に井戸を掘るためだ。

京の都は大雨が降るとたびたび鴨川の洪水に見舞われた。しかしその反面、日照りが続けば水不足の悩みも深刻だったのだ。

そんな人々の悩みに応えるために立ちあがったのが、空也様だった。

「みな、どうか私に力を借してくれぬか」
ある日、西鴻臚館に集まった俺たちを前に、空也様は頭を下げて頼んでいた。
「京の都には井戸が少ない。しかし日照りが続けば多くの人々が水不足に苦しんでいる。私はそれをなんとかしたい」
俺たちは黙って空也様の次の言葉を待っていた。
「井戸堀りの技術はこの腕にある。しかし都に井戸を掘るとなると、多くの人の力添えが必要になるのだ。だからみなの力を借りたい」
俺は隣に座る人に目配せをした。すると、皆穏やかな笑顔をたたえ、同じように目配せをしているのが見えた。
「そして何より」

空也様は大きく息を吸い、深呼吸をした後、こう言ったのである。

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「この善行に励むことは、阿弥陀仏様の教えを信じて行動することでもある。区別も差別もすべてを捨てて、ただひたすらに苦しみを生きる誰かのために行動してゆく。今その具体的な手段こそが、水不足に喘ぐすべてのものたちのために井戸を掘る、ということでもあるのだ」

普段は穏やかな空也様の言動に、だんだん熱が帯び始める。

「阿弥陀仏様は目には見えぬ。目は見えぬが、阿弥陀仏様は確かにいつもそこにおられる。確かにいつもそこにいて、すべてのわれらを見守っておられるのだ。よってわれらが善行に励めば、阿弥陀仏様は必ずや、われらの善行に応えてくれるであろう。そして必ずや、すべてのわれらに大いなる利益(りやく)を与えて下さるであろう」

阿弥陀仏の画像

「命の水」を与えて下さるという最大の利益を、必ずや。

私はそれを信じている。そしてそれを信じ続ける。この心の底から。

〈後編につづく〉

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