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「キムチのほし山」店舗入口
はじめに
「うちのキムチの特徴?そやねえ、初代から現在の2代目になるまでに、熟成発酵を重視する韓国風の味から、日本人向けの昆布だしを使うまろやかな味へと移り変わったことやろね。こんな味やったら喜んでもらえるか、あんな味やったらどやろとか試行錯誤してたら、白菜キムチの味だけでも7種類になってしもた。チヂミの特徴?そら何というたかて、昆布とカツオのだしで初めから味をつけてることやね。」
今回の訪問に際して取材を申し入れたところ快諾してくださった「キムチのほし山」西院店の店長・柳原さんは開口一番こういいました。
「どうどす?見ておくれやす、このキムチ。味はよろしおまっせ。」
話を伺いながら周りを見渡すと、確かにあっちもこっちも真っ赤っ赤。
写真を見ていただくとお分かりになるかと思いますが、決して大げさないい方ではありません。
パック詰めのキムチ
タメ息が出るほど真っ赤っ赤なキムチの正体はどれも白菜キムチです。
柳原さんがいうように味のバリエーションが豊富なことは品ぞろえを見るだけで一目瞭然です。
あっさり、こってり、甘辛、うま辛、辛口・・・
白菜キムチの個別のパック
この日コラム子が訪れたのは、右京区の西院にある韓国食材の専門店「キムチのほし山」です。
これからこのお店の店長・柳原さんとの話しを交えながら、コラム子の味の体験談も含めて、店の概要を紹介しましょう。
コリアタウン鶴橋・韓国市場のチヂミと「キムチのほし山」製チヂミの味を比較すると
大阪市生野区から東成区一帯にかけてコリアタウンと呼ばれる地域は、昔も今も在日朝鮮人の人口が日本全国でも飛びぬけて多いことで知られています。
中でも生野区は、韓流ドラマの人気やスターの影響で現在は大阪の一大観光名所として訪れる人々が後を絶ちません。
その生野や東成に直結する路線がJR環状線です。
さらに、生野区と東成区の最寄りの駅の中でずば抜けて大きいのが鶴橋駅です。
さて、そんな鶴橋駅の高架下には巨大な市場が広がっています。
表向きはプロの業者向けの鮮魚を扱う卸売市場ですが、そこをどんどん奥の方へ入っていくと突然あたりの雰囲気が様変わりして、だしぬけに韓国市場が出現します。
鶴橋韓国市場入口
鶴橋韓国市場中ほどの通路
コラム子が初めてここを訪れたのは、大阪在住の親友の家族と一緒に歳末の買い出しに同行した時のことでした。
京都人のコラム子の目には何もかもが珍しく新鮮でしたが、大阪育ちの人にとっては歳末に韓国市場に足を運ぶことはごく自然なことのようでした。
だだっ広い韓国市場の中を歩き回っていた時、親友が「チヂミがあるわ。これ美味しいから買うてみたら?」と指さしたのが本格的なチヂミとの出会いです。
その時に買ったチヂミはほぼこんな感じ。
韓国市場のチヂミ
帰宅後、一口口にしてそのあっさりとしていて、しかもコクのある味わいに魅了されたコラム子は、その後もたびたび大阪の鶴橋の韓国市場まで出向いてはチヂミを購入していました。
最も頻繫に足を運んでいた当時のチヂミの価格は1枚450円でした。
韓国市場のチヂミは屋台で販売されていて、その数は非常に多くお味は屋台ごとに様々ですが、お値段の方は価格協定をしているらしくどこで買っても均一です。
さて、いささか韓国市場の紹介が長くなりましたが、ある時知り合いに鶴橋のチヂミの話しをしていたら、それを聞いたその人が「キムチのほし山」の存在を教えてくれました。
わざわざ大阪まで遠征しなくても西院で本場のチヂミにお目にかかれる!
というわけで、早速飛びついて買い求めたのがこちら。
お皿に盛りつけたチヂミ
「キムチのほし山」のチヂミを初めて口にした時の驚きを、コラム子は今も忘れません。
とにかく味付けがしっかりしている。――― このひと言に尽きます。
先に紹介した鶴橋のチヂミと「キムチのほし山」のチヂミの写真を比べてみてください。
鶴橋のチヂミの写真
「キムチのほし山」のチヂミの写真
色が全く違いますね。
ほし山のチヂミは生地全体が茶色いのです。
これは「キムチのほし山」のチヂミが昆布とカツオをベースにしたオリジナルの和風だしで生地を練っているからなのです。
鶴橋のチヂミは一切そういったことはしていないので、焼き上がりの色は小麦粉本来の色を反映したクリーム色です。
お味については先に述べた通り全然違います。
「ほし山」チヂミはもともと昆布とカツオのだしの味がつけられている上に、韓国産唐辛子が入っているため濃厚で辛いのです。
購入する際に「しっかり味がついていますからそのまま食べてください」といわれる程です。
ただし、和風のだしが効いているとはいっても、決して京風の薄味ではありません。
優しい味わいとは正反対のパンチのきいた辛くて濃い味付けです。
唐辛子が利かせてあるので食べ進むうちに涙が出てきます。
「ほし山」のチヂミのバリエーションは、ニラべタ、シーフードべタ、すじべタ、九条ネギべタの4種類です。
店内で焼きあがったチヂミがずらーっと並んでいる光景は何度目にしても圧巻です。
ところで「ほし山」のチヂミの値段ですが、ニラべタ¥200,シーフードべタ¥250,すじべタ¥250,九条ネギべタ¥150です。
これは、コラム子がこちらを利用するようになって以来、10年この方変わりません。
鶴橋の値段の半分以下ですから、大変良心的な価格であるといえるでしょう。
ただし、店を訪れるたびに驚くのも事実です。
「あっ、また小さなった!」
チヂミを散々食べ比べたコラム子の結論は大体以下の通りです。
「ほし山」のチヂミは個性的なチヂミです。
歯触りや嚙み心地も弾力性に富んでいて、どちらかというとグニグニしています。
食感といい、味付けそのものといい好き嫌いがあるかもしれません。
コラム子も初めの頃は勝手が違うので戸惑いましたが、次第に慣れてきたせいか、近頃では「なかなか美味しいやん」と感じるようになってきました。
「キムチのほし山」の店舗と商品の紹介
チヂミに関して詳細に触れてきましたので、ここからはこのお店が本領を発揮しているキムチのあれこれとその他の商品について述べていきます。
店長・柳原さんに「キムチのほし山」の歴史とキムチの味について説明してもらいました。
「当店はもともと壬生で創業して、その後梅津に移転して店舗を構えたんですわ。1958年(昭和33年)のことですねん。初代の社長は韓国から渡ってきた星山連順で、今の2代目社長のお母さん(オモニ)でした。なれない日本での苦しい生活を支えるために、初代のオモニはキムチを漬けて売り歩いたんです。うちの味の原点は初代の売り歩いたこってり白菜キムチですわ。」
現在では日本人の口に合うようにいろいろと味の調整を行っているそうで、白菜キムチだけでも7つの味が展開されています。
また、白菜以外の野菜を使ったキムチも製造していることでも知られています。
一例をあげると大根サイコロキムチ、キュウリキムチ、小松菜キムチ、ニラキムチ、水キムチなどです。
小松菜キムチ
キュウリキムチ
キムチの味についてコラム子の感想を紹介したいところですが、あいにくコラム子は漬け物が苦手でさらにその上唐辛子の辛味に拒絶反応が起きるのです。
そんな事情で、生まれてからこの方一度もキムチなるものを食べた経験がありません。
従って正直なところ、キムチの良しあしについては何ともいえないのです。
さて、店内にはキムチとチヂミの他にも韓国食材や韓国料理がずらりと並んでいます。
定番の蒸し豚や各種調味料も豊富にそろっているので、韓国に興味のある人は訪れたらきっと心を奪われるでしょう。
蒸し豚
韓国の調味料
さらに、ビビンバキットなども取り揃えてあり、自宅で本格的な韓国料理が楽しめます。
ビビンバ
この他、買ってすぐ食べられる総菜も販売されています。
辛手羽焼きやサバの煮込みなど、ご飯のおかずとして喜ばれそうなラインナップも充実しています。
辛手羽焼き1
辛手羽焼き2
韓国のインスタントラーメンも豊富に取り揃えられています。
韓国のインスタントラーメン
コラム子が「お店のお客さんはどういった方が多いのですか?海外の観光客はお見えになりますか?」と尋ねました。
すると、柳原さん曰く「この西院周辺はこれといった目玉があらへんでしょ。そやから旅行者は全然きはらへんね。地元のお客さんばかりですわ。日本人の方か在日の方かは今じゃ見分けがつきませんよ。」とのことでした。
むすび
京都市内で在日の人口が多いのは西九条と右京区の西院周辺です。
西九条でもキムチの店は数店ありますが、こちらの「キムチのほし山」は韓国料理や食材に関する予備知識がゼロでも気楽に入れるお店です。
コラム子は西九条を訪れたことはこれまでありませんが、以前頻繫に出かけて行った鶴橋の韓国市場とこちらの「キムチのほし山」を比較してみても、入店のしやすさは「ほし山」が群を抜いているといえるでしょう。
加えてほしいものが大体揃う豊富な品揃えも大きな魅力の一つです。
残念ながらチヂミ一筋のコラム子は、他の商品になかなか目が行き届かないのですが、韓国に興味のある方は是非一度訪れてみてください。
たとえ何も買う気にならなくても、見ているだけで楽しい時間が過ごせること請け合いです。
店舗情報
キムチのほし山 京都西院店
- 所在地:〒615-0026 京都府京都市右京区西院北矢掛町31
- TEL:075-315-2129
- URL:https://hoshiyama.ne.jp/
- 交通アクセス:
阪急電車 「西院」から徒歩15分
市バス 「西大路四条」から徒歩15分
嵐電 「西院」から徒歩15分 - 営業時間:11時~19時
- 定休日:月曜
この記事を書いた人

つばくろ(Tsubakuro)
京都生まれ、京都育ち、生粋の京都人です。
若い頃は京都よりも賑やかな東京や大阪に憧れを抱いていましたが、年を重ねるに従って少しづつ京都の良さが分かってきました。
このサイトでは、一見さんでは見落してしまう京都の食を巡る穴場スポットを紹介します。