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鴻臚館から見た夕日は、私を穏やかに見守っています。あの夕日こそは、すべての私たちを見守る阿弥陀仏様そのものなのでしょう。阿弥陀仏様は、こうしていつでも私たちを見守っているのです。

夕日

「おねえちゃん!」
ふと、私を呼ぶ声が聞こえました。声のする方を見ると、レンが大きな白い犬の小太郎といっしょに私の方へ走ってきます。後ろには、空也様と蓮性様がおりました。
「レン!」
私がレンの目の高さまでしゃがんで、手を広げると、レンがその中に飛び込んできました。
「よかった、おねえちゃん、元気になったんだね」
「ええ、レン。あなたたちのおかげで、すっかりよくなったわ。ありがとう」
「うん」
私はレンと抱擁を交わしたあと、やさしく見守っていた空也様と蓮性様のもとへ歩み寄っていきました。

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「空也さま、蓮性様、本当にありがとうございました。何とお礼を申してよいものか」
「いいえ、どういたしまして。よかったです、お元気になられて」
空也様が穏やかな微笑をたたえて私に応えてくれます。
「あなた様方は本当に、私たちにとって命の恩人でございます。これもきっと、阿弥陀仏様が導いて下さったおかげでございましょう」
私は再び、空を茜色に染める西日に目を移して両手を合わせ、静かにお念仏を称えるのでした。

「南無阿弥陀仏、阿弥陀仏。南無阿弥陀仏、阿弥陀仏」
阿弥陀仏様、ほんとうに、ほんとうに有り難うございます。

夕日は、静かに穏やかに私たちを平等に包み込み、やさしく私たちを見守ってくれています。私はその夕日に願いを込めて、穏やかに祈りを捧げていました。

どうか今日も明日もその先も、光へと続く明日でありますように。

合掌

「南無阿弥陀仏、阿弥陀仏。南無阿弥陀仏、阿弥陀仏」
ああ阿弥陀様、あなたを信じ、この身をすべて委ねます。

茜の中にいまします阿弥陀仏様

「第3楽章 絆を胸に」へとつづく。

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